仏像の材質の多くは木材…それぞれの特徴とその他の材質について

仏像の材質の多くは木材

仏像の材質・技法は様々です。多くは木で作られていますが、選ぶ材木によって質感や適切な大きさが異なってきます。まずは日本における仏像の材質を見ていきましょう。木材の性質を知ることで、祀る場所との調和を考えた仏像の新調や修繕依頼もしやすくなります。

仏像の材質は「木」がほとんど

日本は森林資源が豊富にあったため、ほとんどの仏像が木で作られていました。現在も多くの仏師が「木曽桧」や「樟」といった木を使用しています。木目をそのままに仕上げる木地仕上げや、漆を塗り金箔を貼り付ける仕上げ方法、彩色などの技法も様々です。また、一本の木材から主要部分を掘り出す方法を「一木造り」、複数の木材を組み合わせる方法を「寄木造り」と言います。

どのような木材が使用され、それぞれにどのような材質があるのかを見ていきましょう。

木曽桧(きそひのき)

特徴的な香りを持つ桧は、水に強く耐久性・保存性に優れています。なかでも木曽川上流の森林地帯にある天然林は、日本三大美林のうちの一つとしても知られており、大変有名な天然桧が分布しているのです。

木曽檜の特徴としては、非常に目が細かく美しいことが挙げられます。さらに柔らかいため彫りやすいのですが、細かい作業が必要な箇所は欠けやすく注意が必要です。その柔らかさを利用して、丸みや曲線を持つ女性的な造形に使用するのが向いています。

また、年月が経つことで薄茶色のような色合いとなり、落ち着きと上品さを兼ね備える木材です。

樟(くすのき)

樟は仏像の材質として優秀なだけではなく、信仰の対象として寺社仏閣などに多く植林されています。保存性・耐久性にも優れており防虫効果も期待できますが、歪みやすい側面も持ちあわせているためしっかり乾燥させてから使用することが重要です。

また楠は比較的掘りやすいため、木曽檜と同様に多くの仏像の材質として使用されてきました。大きな作品や一木造りにも適していますが木目が強く逆目を引き起こしやすいので、小さな作品は作りづらいかもしれません。

柘植(つげ)

柘植の特徴は、黄色い見た目と美しい木目です。表面が滑らかなので肌触りも抜群ですが、材質は硬く、彫るのが難しいとされています。しかしその強度と経年によって生まれる味わい深い色合いは、仏像の材質として優れていると言えるでしょう。また比較的小さい木が多いので、大きな作品を作るのには向いていません。

白檀(びゃくだん)

お香などでも知られる白檀は大変香り高く、仏像の材質としては最上級と言われています。桧と同様に目が細かく、重厚感があるのが特徴です。細やかな細工を施したい場合や、小さな仏像を製作する際に向いています。

他にも、仏像は萱(かや)や桂(かつら)、ヒバなどの様々な材質で作られています。

その他の仏像の材質

石像(石仏)

海外では永きに渡ってそのお姿が残せるように、頑丈な石を使用した仏像が多く作られてきました。インドに現存する仏像のほとんども石造りです。石像には切り取った石を用いて彫刻を行う独立像と、自然の中にある崖をそのまま使用して彫刻を行う摩崖仏があります。日本は森林が豊富で大きな岩も少なかったため、石像はそれほど作られませんでした。

塑像

粘土を使用して製作する技法は、塑像と呼ばれます。ヘラや指先を使った細やかな作業がしやすく、粘土の性質から表面を滑らかに仕上げることが可能です。しかしその反面、割れや彩色の剥げといった問題も見られます。

金銅像(金銅仏)

銅像で製作した仏像に鍍金を施したものを金銅像と呼びます。銅は加工がしやすく比較的入手が容易だったため、特に多く使用されていました。土や木、粘土などで原型を作り金属を流し込む鋳造法で作られた大仏としては、奈良や鎌倉のものが有名です。

乾漆像

漆を用いて製作する仏像は乾漆像です。泥土で原型を作成し表面に漆と麻布を使用する脱乾漆と、木で原型を作成する木芯乾漆という技法があります。どちらも木屎漆で細かい成形を行い、鍍金や彩色を行う技法です。また脱乾漆では内部の泥土を取り除くため、内部が空洞になっていることが特徴となっています。

時代でわかる仏像材質の移り変わり

・飛鳥時代

仏像の材質は木造りと金銅造りです。木造りについてはそのほとんどが樟で作られており、一木造りの技法はこの頃から存在していたと言われています。

・天平時代

木・金属のほかに、石造りや塑像、漆など様々な技法を用いた仏像が多く作られました。特に中が空洞で巨大なものが作れる脱乾漆の技法が流行ります。木造の仏像は一木造りの製法しかなかったため、巨大な仏像を作ることができなかったのです。しかしその結果、金銅像に使用する金属だけではなく漆を多用してしまい、後期になるにつれて漆を使用した仏像は少なくなっていきます。

・平安時代

漆を節制する流れを引き継いで、平安時代に作られた仏像の材質は木造りが多いです。そして複数の木材を組み合わせる寄木造りの技法が生まれたのも平安時代だといわれています。これまでは樟を使用することがほとんどでしたが、萱や桧の木材が多く使用されるようになりました。

・鎌倉時代

鎌倉時代になると、鉄で作られた仏像が出てくるようになります。鉄は融点が高くて扱いづらく、さらに硬いため表面を整えるのにも向いていませんでした。しかし硬い金属であるからこそ、この時代で好まれたのではないかと考えられます。他にも、紙や銀などを使用した仏像もあったようです。

まとめ

日本で製作された仏像の多くは木で作られてきました。木といっても様々な種類があり、その時代によって好まれ使用されてきた木材は異なります。また木像以外にも仏像の材質は様々であり、時代背景が見えてくるものもあるのです。そして仏像は、その材質によりお手入れだけでなく修理方法までも異なります。それらの仏像の修繕だけでなく、お好みの材木での仏像製作については、「清和佛具株式会社」へお気軽にお問合せください。